男たちの異常な狂気「マークス」
「マークスの山」(1995)
高村薫の小説が原作。
メガホンをとったのが崔洋一なので、
高村作品に流れる硬派な男のロマンチシズム(それは時にやおい的にも見える)という夢を見せてくれる隙を観客にまったく与えません。
男社会独特の軋轢と暴力で埋め尽くされた、異常な映画に仕上がっています。
原作ファンにそっぽを向かれるのも分かるっちゃ分かる。
私はこの映画を気に入ってる理由は、まぁおいおい分かると思いますが・・。
まず出演者がいいんです。
主演は中井貴一と萩原聖人。
で、その周りを固める面々が
小木茂光/遠藤憲一/古尾谷雅人/岸谷五朗/西島秀俊/寺島進/岸部一徳/小須田康人/岩松了/塩見三省/豊原功輔/伊藤洋三郎/大杉漣/笹野高史/金守仁/鄭義信
エトセトラエトセトラ。
ほーらほら、もう、ワクワクしてくるもん。
さて、ではどのへんが異常なのかと申しますと、
まず、精神病院に入っている萩原聖人さんが映画開始3分でホモに無理やり性行為を強制させられてるあたりからしてタダゴトじゃないです。
その現場を目撃した看護師がキレて
とても私の口からは言えないくらいの罵倒を浴びせながらホモ男を殴るわ蹴るわ
あげくに虐待死させ
かと思えば、呆然とそのさまを見ていた萩原さんが突如看護師に襲いかかり
「アハハハハハ!」と狂ったように笑いながら看護師を絞殺。
・・・・話についていけませんよね。
私もついていけません。
前説、お話の導入部分がこれですから(・・・・・・。)
そして、本題の殺人事件についてですが
いきなり「パッチギ!」の井筒監督がスプラッタな死体役で登場。
先ほど名前を挙げた遠藤・古尾谷・小木・西島らは刑事役。
御覧の通りクセモノ揃いで、
彼らが反目しあい、殺伐とした捜査現場を眺めてるだけで
無性に嬉しくなってきます。
主人公・中井貴一と仲の悪い捜査主任が萩原流行。
流行を背後からめった刺しにするのが大杉レンレンです。
どうですか、ちょっと見たいと思ってきませんか?(こないよ。)
真打ちは事件の黒幕である弁護士の小林稔侍です。
ヤクザから奪ったトカレフを持って復讐に現れた萩原聖人を鉄パイプでボコボコにする稔侍。
普段見慣れた優しい役の面影はどこにもありません。
そうだ、この方は「狂い咲きサンダーロード」でバリバリの右翼を演じた男だったわ・・・。
小須田氏が出ているのに気がついたのはつい先日のこと。
乱闘シーンで聞き覚えのあるいい声が耳にシュッと入ってきた。
よりにもよって「全共闘」って書いたヘルメットかぶってタオルマスクしてゲバ棒持って学生闘争をやっていた。
リンチで人死なせるわ、しかもそのあと雪山で殺されるわ、そのまま死体遺棄されるわ
どえらいことになってます。
(というかこの映画ではどえらいことになってる人だらけ)
とにかく役者がいい演技してるので見ごたえがあります。
傑作かどうかは分かりませんが怪作であるのは間違いありません。
ダークで異常な気分に浸りたい日に。
私の中にはホワイト巌とブラック巌が棲んでいます。
今回はブラックさんからのオススメ映画でした。
でも現実ではこんなことやっちゃ駄目だよ!
(・・という当たり前のことを注意書きしないといけない、今の御時世が悲しい。)
DVD化もされていない憂き目にあっているこの異常映画にも愛を。
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